【CK3】紋章の目的や種類について

Crusader KingsⅢで紋章を編集するときに助けになればいいなと思って記事を作成しています。

紋章の目的

紋章(Coat of Arms)は、戦闘において個人を識別するために楯に描かれたもののことです。紀元前800年に現在のトルコの場所にに存在したフリュギア人が楯に用いていたことが知られています。

中世初期の時代では、敵味方を離れた位置から判別できるという目的があったために、用いられる紋章は簡素なもので、色は派手なものでした。

そのため、紋章には楯状の図形が紋章の下地として使われています。

紋章学において、楯の表面は紋地(field)と呼ばれており、このfield上に図形(charge)が描かれます。chargeには簡素な幾何学的紋章(ordinaries)、ordinariesよりも小さなsubordinaries、ライオン・馬などの動物が主に描かれました。

オーディナリーズ(ordinaries)

ordinariesは下画像で示すような紋章を示します。この斜め十字の紋章はソールタイアと呼ばれるなど、それぞれのordinariesには紋章に名前があります。このordinariesと色の組み合わせでどの家の紋章かを区別することができました。非常に明快で、覚えやすいですね。このような紋章は当初の目的を果たす素晴らしい機能的な紋章と言えます。

14世紀には、紋章学のあらゆる書物にて言及されるほどordinariesは普及が進んでいました。

イングランド北部の名家ネヴィル家の紋章©User:Jaspe CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ordinariesとsubordinariesの具体的な図形や呼称はこちらのWikipediaのページで確認できます。

chargeに人気があった動物

CK3をプレイしていたらなんとなくどの動物がchargeに使われたかは想像できるかと思います。

一目で見方を区別できるordinariesが最も人気となっており、次にsubordinaries、その次に動物をchargeに使った紋章が人気でした。

chargeに使われた一番人気の動物は、ライオンです。現在も百獣の王として強者の代名詞のように使われています。

ライオンのchargeの中でも特に人気があったのは、ライオン・ランパント(lion rampant)と呼ばれる左後ろ片脚立ちライオンでした。

フィンランドの国章(Public Domain)

次いで人気だった動物は、鷲です。現在でもドイツやオーストリアなどの国章に使われています。

ポーランドの国章(Public Domain)

他の人気の動物は、馬・狼・熊・猪・牛・雄鹿です。

海外ドラマGame of Thronesでは、主要な4つの家にはそれぞれ狼・ライオン・鹿・龍が使われていました。

紋章に用いられる色

色(tincture)は中世初期では金または黄(or)、銀または白(argent)、青(azure)、赤(gules)、黒(sable)の5つの種類と次に説明する毛皮紋が使われました。これらは、はっきりと識別しやすい色です。

しかしながら、紋章が王や貴族だけでなく下級貴族、都市の市民や農民にまで普及してしまった国もあったために、紋章が被らないようにする必要が発生し、色の種類も増えることになりました。

15世紀頃には、緑(vert)、紫(purpure)が加わった他、オレンジ(tenné)、暗赤紫(murrey)も加わりました。

下の画像は、逆V字型のシェブロンという図形の紋章ですが、これまで説明した紋地と色を使って表すと、Argent(白の紋地)a chevron(逆V字型のordinaries)gules(赤)となり、言葉で表すことができます

“Argent a chevron gules”©Ipankonin CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

色(tincture)として扱う毛皮紋

紋章学における色(tincture)では、毛皮紋という特殊なものが存在します。

代表的な毛皮紋はアーミン(ermine)とヴェール(vair)があります。

アーミン(ermine)

アーミンは、オコジョ(シロテン)が冬に純白の白い毛をまとったもので、黒い尻尾がついているのが特徴です。こんなに可愛い動物を毛皮にするなんて・・・。

冬毛をまとったオコジョ©Sasha Sanbith CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

西ヨーロッパのオコジョは上画像のように冬毛が白くならないそうで、モスクワ大公国など遠方から取り寄せる必要があったために、中世の西ヨーロッパでアーミンを取り寄せることができたのはごく一部の大貴族だけでした。

このアーミンを紋章に用いている代表例は、アーミンを取り寄せることができた一部の貴族であるブルターニュ公です。

ブルターニュ公国(39–1547年)の国章©Carlodangio CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

CK3でも同じ紋章が使われていますが、これがオコジョの毛皮だったと知ってからはブルターニュ公国を少し嫌いになってしまいそうです。

ヴェール(vair)

こちらは、リスの毛皮が元になっています。リスの毛皮は外套の裏地に使われることが多く、背の部分が青みがかった灰色で腹部が白でした。

毛皮紋のヴェール(Public Domain)

紋地(楯)の分割(perty)

先述したように、紋章を使う貴族や騎士が増えてしまい重複を避ける必要があったために、紋地の分割も行われました。

紋地を縦に分割にする(party per pale)や4分割する(Quarterly)があります。

現代でも見慣れた分割方法ではないでしょうか。

Quarterly argent and gules©Balmung0731 CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

楯の中の小さな盾 インエスカッシャン(inescutcheon)

chargeのsubordinariesに分類されるインエスカッシャンですが、特に領地を継承した女相続人が結婚するときに用いられました。CK3プレイヤーならすぐに理解できると思いますが、姉妹のみで兄や弟がいない場合、女相続人Aは領地を引き継ぎます。その時、領地持ちの男領主Bと結婚した場合、男領主Bの紋章を紋地にして、女相続人Aの紋章をインエスカッシャンとして中央に小さく配置する慣習ががありました。

インエスカッシャン©Balmung0731 CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

CK3で土地持ち女伯爵と結婚した自家の伯爵や公爵から分家を創設するときは、このインエスカッシャンを使って家紋を考えてあげてもいいかもしれません。

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